マレーシア子育て

「発達障害児こそ海外へ」は本当か?発達障害児の海外留学メリットとデメリット

私は「発達障害児こそ海外へ!」「海外なら発達障害児も暮らしやすい!」このようなキラキラキャッチフレーズで留学を誘う方やエージェントさんに違和感を感じています。

今回は、マレーシアで発達障害児を育てる親の立場で、発達障害児に海外留学は適しているのか?について本音を語りたいと思います。発達障害児育児に悩んで海外留学を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

発達障害児に海外留学を勧めるサービスは多い

発達障害児育児をするご両親は育児に悩みやすく、様々な情報を取り入れたり頼ったりすると思います。実際に我が家もそうです。

そのような悩める発達障害児育児ママパパに向けて「海外の多様性が認められる文化の中で子育てを」というフレーズを売りにしている業者さんがいるのも事実です。

私は半信半疑ながらも、少なからずその言葉に期待していたことは否定できません。しかし、現実はそう甘くはなかったというのが結論です。

海外で発達障害児を育てるには、いくつかのメリットと同時に多くのデメリットも存在します。

じゃぁなぜ「発達障害児こそ海外へ」というフレーズが横行しているのか?に関しては、一部の成功事例をもとにしているのか、単純にターゲットを絞ったフレーズを使い集客につなげているだけでしょう。

特に営利団体が使う「発達障害児こそ海外へ」のフレーズの裏には「発達障害児の親に海外留学への期待を膨らませ自社サービスの利用へ促す」が隠れています。

業者さんが「うちの子も発達障害児で〜海外留学してからは生きやすくなって〜」など、自分の成功体験を語り出したとしても、話半分で聞いておいた方が良いです。悩みのあるところには必ず悩みつにけ込んだ商売が成立するものだからです。

海外留学を勧める業者が多い理由

・数少ない成功体験を元にしている
・ターゲットを絞ることで集客に繋げている

発達障害児が海外留学することのデメリット

発達障害児が海外留学をするには、次のようなデメリットが存在します。そして何事に関してもそうですが、失敗体験はあまり拡散されません。

日本に比べて子供へのストレス・負担が多い

日本の公立小学校で勉強をしていた子供がマレーシアのインターナショナルスクールに入学すると、単純に勉強量が増えたと感じると思います。

特に高学年かつ英語力が不足している状態での留学となると、習い事や自学で学習をフォローしなくてはいけません。

発達障害児の問題行動には、ストレスが関係する場合が多いため、情緒面のフォローが必須だと言えるでしょう。特に入学からしばらくの間は、今まで以上に問題行動が増えてしまう恐れがあります。

親だけでなく先生にも相談しながら、しっかりサポートしなければ、状況はより悪くなるでしょう。

マレーシアでの英語教育については、こちらの記事で説明しています。

成績で学年が決まる

マレーシア以外の国でも言えることですが、海外のインターナショナルスクールは、年齢ではなく成績で学年が決まります。そのため、テストの点数が基準以下なら容赦なく進級不可・学年が下がるなどの決定が下されます。

学習面でハンデを持っている子供にとっては、非常に厳しいポイントでしょう。

私自身は学年にこだわりはなく、本人のペースでしっかり学べた方が良いと考えているのですが、子供自身は自分より年下と学ぶこと・今いる友達と一緒に進級できない可能性に抵抗を感じています。

子供の世界は残酷

これは日本でも同じですが、子供は無邪気が故の残酷さがありますよね。

「みんな仲良く平和にしましょ」という日本的な文化ではない外国では、人種はもちろん能力的な比較・差別などが分かりやすいです。

だからこそ強く逞しくならなくてはいけないのですが、情緒面に不安のある子供は「逞しくなれ!」と放置しておくわけにもいかないので、やっぱり親の介入が必要な場面も多いです。

また外国では「平等」は重視されないため、優劣を自覚する機会が多く、自分の評価を客観的にしたことがない子供にとっては辛い環境です。

まさに「うちはうち」という精神でないと、親子共に参ってしまうでしょう。子供が劣等感まみれにならないように、本人が得意とすること・好きなことをどんどん伸ばしてあげるのがオススメです。

医療費が高い

日本では発達障害の治療やカウンセリングに医療保険が適用されることが大半ですが、海外での治療費は10割負担です。(日本の医療保険で返金が可能な場合もあるようですが怪我や病気ではないので試していません)

我が家の場合、マレーシアでの投薬は行っていないので投薬費用の負担はありません。カウンセリングは1回1万円弱〜2万円が相場のようです。

海外でも専門医にしっかり診てもらいたいというのなら、毎月の医療費を生活費の予定にプラスしておく必要があるでしょう。

マレーシアで発達障害のカウンセリングを受けた体験談はこちらに記載しています。

日本人コミュニティ内での気遣いは必須

多くの留学先には、多かれ少なかれ日本人コミュニティが存在すると思います。

発達障害児で問題行動がある子供がいる場合には、コミュニティ内でトラブルにならないような配慮も必要です。日本での配慮に似たものですが、日本人コミュニティの付き合いが密な場合には、より多くの配慮が必要になるでしょう。

発達障害児育児をしているママは、残念ながら他のママに謝る機会が多いと思います。日本で感じているその辛さは軽減しないかもしれません。

発達障害児の海外留学のデメリット

・ストレスフルな環境
・海外は成績にシビア
・医療費は結構かかる
・日本人コミュニティ内での配慮は必要

発達障害児が海外留学することのメリット

ここまで発達障害児が海外留学することのデメリットばかりをお伝えしてしまいましたが、もちろん発達障害児を海外で育てるメリットもあります。

人目が気にならなくなる

日本で求められる「普通」の感覚が薄れる海外では、些細なことは気にならなくなります。海外旅行時の開放感が長く続く感じです。

そもそも人種も宗教も違う人たちが集まっているので、みんな違って当然という感覚です。

学校外の場所での、「その場の空気をよめない」「自分の気分で動いてしまう」とかの行動は、それほど目立つものではなくなります。

これは人目を気にして発達障害児育児をしているママにとっては、大きなメリットかもしれません。(本当は人目なんて気にしないのが一番ですが、気になる気持ちはとてもよく分かります)

将来の選択肢が増える

私は子供に海外で働いてほしいと考えています。就職先や職業は本人たちに決めさせるつもりです。

普通であること・協調性があること・空気をよむことが重要視されない国で仕事をした方が、息子・娘の両方に自分らしく生きられる未来ができるのではないかと考えたためです。

海外留学をしてしっかり勉強をすれば、英語力が身につき海外で通用する学歴も手に入ります。また「海外で仕事をする」という意識が子供に簡単に根付くでしょう。

もちろん日本で教育を済ませても海外で働くことは可能ですが、海外で働くという選択が自然に浮かびやすいと思います。

発達障害児の海外留学のメリット

・普通じゃないことは気にならなくなる
・将来の選択肢が増える

我が家の場合

長々と発達障害児に海外留学を勧めることへの違和感について説明しましたが、我が家はマレーシア留学を後悔していません。

紹介したデメリットは想定内だったことと、子供が今を楽しんでくれているからです。もちろん日本にいた時よりも大変なことは多く、はっきり言って毎日何かと戦っているような日々ですが、私も今の生活が好きです。親子で葛藤した日々から得るものは本当に多いと思います。

そのため、私は発達障害児に海外留学を勧めないという意見なわけではありません。ただし「発達障害児こそ海外へ」と安易に海外留学を勧めるのは不適切と感じているだけです。

海外に出ても根本的な問題は解決しないし、むしろより問題が大きくなる可能性も高い、それでも何らかの目標があるのなら、留学を考えるのも良いかもね・・・くらいの感覚です。

まとめ

「発達障害児こそ海外へ」というキャッチフレーズに対して思うことと、実際にマレーシアで感じた発達障害児育児のメリットデメリットを紹介しました。

正直私は「発達障害児には海外留学がお勧め」というような記事を、実体験のもとで書き残したいと思っていました。しかし実際に体験してみて、それでは嘘になると感じたため、今回の記事を執筆しています。

発達障害児育児に悩み、海外留学も検討しているのであれば、この現実はぜひ知っておいてほしいです。「そんなこと分かってるよ!」という方はごめんなさい。

メリットもあるよデメリットもたくさんあるよ!ということをご理解いただければと思います。

ABOUT ME
sumire
フリーランスライター・カメラマン マレーシアで13歳発達障害児・9歳マイペース女子育児をしています。