PEERSについての記事を書いてから1年弱の期間を経て・・ようやく全トレーニングを完了しました。
正直、長い道のりだった!!
今回はソーシャルスキルトレーニング(SST)の一種類であるPEERSをマレーシアで受けた感想と、親と本人が感じる効果についてまとめました。
PEERSまたはSSTへの参加を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
SSTの一つであるPEERSとは
PEERSとは「Program for Education and Enrichment of Relational Skills」の略称であり、アメリカの研究者によって生まれました。
思春期の自閉症スペクトラム症またはソーシャルスキルに課題を持つ子を対象としており、目安年齢は11〜18歳かつ1グループの人数もプログラムで定められています。
PEERSは代表的なソーシャルスキルトレーニング(SST)の一つとして、世界中で実施されているんです。
日本でPEERSを受けることも可能なようなので、ぜひ調べてみてください。
PEERSの基本情報をまとめたものはコチラ。
対象年齢目安 | 11〜18歳 |
対象の子ども | 自閉症スペクトラム症またはソーシャルスキルに課題がある |
回数 | 全14回 1.レクリエーション 2.情報交換 3.双方向会話 4.電子通信コミュニケーション 5.自分に合った友だちを選ぶ 6.ユーモアの適切な使い方 7.仲間に入る:会話に入る 8.仲間に入る:会話から抜ける 9.一緒に遊ぶ 10.拒否:からかい言葉・戸惑い言葉への対応 11.拒否:いじめや悪い評判への対応 12.思いのすれ違いへの対応方法 13.噂やゴシップへの対応方法 14.プログラムの卒業 |
時間 | 1回90分 |
参加者 | 子どもと保護者(別室で別々のトレーニングを受ける) |
参加者の人数 | 6名〜10名(プログラムにより異なる) |
費用目安 | 〜10万円 |
注意事項 | 3回以上の欠席でグループから外される 3回以上の欠席予定がある方は申し込み不可 |
これらの情報はインターネットとこちら「友だち作りのSST」の本から抜粋しています。一参加者であるため、解釈に間違いがあれば随時修正予定です。
詳細は、前回の記事を参考にしてください。
私が受けたPEERSは簡易版と言っても良いのかも
本来の予定では、正式なPEERSを受ける気満々でしたが、やっぱりここはマレーシア・・
色々な都合で、少しなぁなぁっとしながら公式のルールとは違う部分がありました。
- 親のトレーニングはなし
- 継続が精神的に難しい子供が多く最終的には2人だけになってしまった
- 宿題ができていない(困難)な子供のために宿題が簡略化された
- 息子が私が同室に入ることを拒否した(これはうちの問題)
おやおや・・と思うところもありましたが、逆に考えると・・子供の精神状態に寄り添って臨機応変に対応を変えてくれたんだなと思います。
また、人数が少なくなってしまったことでスケジュールの融通が利きやすくなり(これ以上減ったら成り立たないから)
3ヶ月で完了の予定のセッションに7ヶ月かかりました。結果的オーライです。
残念なポイントとしては、息子がセッションルームに私が入ることを嫌がったという点です。
数回部屋に入ってみましたが、息子の態度が悪くなるので諦めて隣の部屋で過ごすことにしました。
一緒にトレーニングを受けたメンバー
当初6人だった参加者は、急遽キャンセル・・子供の気持ちを持って来れなかった・・などなどの理由で3人になりました。
- 13歳男子:ADHD・感情コントロールが難しい・思春期ど真ん中で寡黙(うちの子)
- 14歳男子:診断名不明・不安が強く多弁の症状があるようでした
- 12歳男子:ADHD・社交的であるものの多動・多弁だそうです
14歳の男の子は精神的に不安定な部分があり、パパママも努力していたようですが半分もセッションに参加できませんでした。
このメンバーだと、息子は寡黙を貫き・・あまり積極的にセッションに参加していたとは言えません。
でも、カウンセラーの方が明るくグイグイ息子を引き入れてくれたので、参加の意義は十分にあったと思います。
また、今回のPEERSに十分な参加者が集まらなかった理由には、中国語が根強い地域に暮らしているのに英語のセッションを選択したこと・そもそも会場が田舎だったことなども関係していると思います。
こんな条件でセッションを続けてもらえたんだから、むしろありがたい・・・。
印象的だったトレーニング
PEERSでは、さまざまなテーマをもとにセッションが行われます。
私はセッションルームの隣の部屋にいたので、細かな部分は把握できなかったのですが「友達を自宅に招く練習」を少し外から見れました。
ドアに友達役の方が立ってくれて「いらっしゃ〜い」から、部屋の紹介・お菓子を選んでもらって何をして遊ぶか話し合う〜最後はお見送りまでの流れです。
当たり前のようにできるようで、やっぱりトレーニングにすると「何をしてあげる・どう対応してあげると相手が心地良く思うのか」を客観的に理解しやすいと感じました。
PEERSでは、その他のセッションも同様に「この行動により相手がどう思うか」また「自分はどう感情を表現するべきか」など、実践的なソーシャルスキルトレーニングをロールプレーイングの中で学べます。
特にうちの子は思春期に入っているので、親が説明したところで煙たがされることをしっかり教われたと思いますね。
毎回のセッション・卒業時にも先生が実践に促してくれる
勉強と一緒で、PEERSで学んだ知識は私生活で実践していかなければ定着しません。
先生は「お友達を一人で良いから家に招いてみよう!」など、セッションの最後には必ず実践方法を提案してくれました。
PEERSの卒業式では、これまでのセッションの総復習をしながら、やはり「これからはどんどん実践していこう」と子供達を奮い立たせてくれていたんです。
習ったことに忠実に・・とまでは難しくても、心の片隅に得た知識が残り活用できますようにと思っています。
親と本人が感じたPEERSの効果
PEERSを終えてすぐ、息子とPEERSの効果について話し合いました。私はPEERSの効果はすでに出ているように感じます。
彼の心の成長と同時期に進んだセッションなので、PEERSだけのお陰かと言われると難しいですが、具体的には次のような効果を感じました。
- 自分の失礼な言動・行動について早い段階で反省できるようになった
- 相手からの挑発的な態度(主に妹)を数回までは受け流せるようになった
- 自分の言動・行動が人に与える影響を考えられる機会が増えた気がする
- 客観的に物事を捉えられる機会が増えた
- 「瞬時にキレる」ことが非常に少なくなった
具体例を出すことは難しいかな・・
例えば勉強を教えている時に「ここが〇〇だから間違っているよ、正しいやり方は昨日やった〇〇・・・」と話をしたとします。
少し前までは「クソが」と悪態をついたり「俺は何をやってもダメだ」と異様に自分を落としたり・・それはもう、こちらも対応に困っていました。
最近は「ごめん忘れてた」や「あ〜なるほど」と言えたりします。
普通のこと?かもしれないけど、我が家的には物凄い成長です。
特に間違いを指摘される・注意された時に平常心を保つことが困難だった息子にとって、これはとっても大きな一歩だと言えるでしょう。
相変わらず自分の考えの言語化が苦手な息子ですが、本人は「PEERSのおかげで人に優しくなれた気がする」と言っています。
自分の言動・行動が相手に与える影響を知ったから?人の気持ちを考えて行動できるようになったから?とにかく、PEERSの効果だと思います。
息子はPEERSに積極的な態度では参加していなかったけれど、「やる気ない風」を装いながらも内容は心に残ってくれたようです。
PEERSを体験するアプリケーション
今日知ったのですが、PEERSには専用アプリケーションが用意されているそうです。
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.peersclinic.peers
App Store
https://apps.apple.com/us/app/peers/id1588331306
もちろん、実践を交えたトレーニングはアプリでは難しいと思いますが、復習には役立つのではとカウンセラーの方が言っていました。
興味がある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ
長かった!PEERSを完走して息子の成長を感じられました。まもなく始まる新学年で、PEERSで学んだソーシャルスキルが役立つことを祈ります。
結論としては、「なんだかんだ予定とは違ったし、大変だったけど参加出来て良かった!」です。
今年は別のソーシャルスキルトレーニングを開始する予定なので、またそちらもレポートしますね。