マレーシア子育て

ソーシャルスキルトレーニングに有効なPEERSとは

衝動性は少しずつ改善しており、突然キレる場面も減ってきた息子ですが、反抗期や親離れの時期到来で平和な日々は訪れません。

そんな中、以前からカウンセラーの方のお勧めで半年順番待ちをしていたソーシャルスキルトレーニング「PEERS」に参加できる(できそう)なところまで来ました!

自分自身、とても期待しているトレーニングであるため、今回の記事では経過報告の前に予習も兼ねてPEERSについてまとめたいと思います。

ちなみにPEERSは、日本でも受講可能なトレーニングです。子どものソーシャルトレーニングに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

PEERSとは?

PEERSとは「Program for Education and Enrichment of Relational Skills」の略称であり、アメリカの研究者Dr.Elizabeth Laugesonによって生まれました。

思春期の自閉症スペクトラム症またはソーシャルスキルに課題を持つ子を対象としており、目安年齢は11〜18歳かつ1グループの人数もプログラムで定められています。

トレーニングは全14回。(主催団体により異なる場合もあるようです)

3回以上の欠席は認められておらず、基本的に全部出席することが好ましい・3回以上の欠席予定が事前にある方は参加不可。さらに保護者も参加型で毎回宿題も出ます。

お値段も日本だと14回で10万円弱、マレーシアでも5万円以上はかかるので、気軽に参加できるトレーニングではないと考えるべきです。

しかし、私はその効果に期待し、絶対参加したいと考えています。(現在申し込み済・返答待ち)

PEERSの基本情報を表にまとめました。

対象年齢目安11〜18歳
対象の子ども自閉症スペクトラム症またはソーシャルスキルに課題がある
回数全14回
時間1回90分
参加者子どもと保護者(別室で別々のトレーニングを受ける)
参加者の人数6名〜10名(プログラムにより異なる)
費用目安〜10万円
注意事項3回以上の欠席でグループから外される
3回以上の欠席予定がある方は申し込み不可

これらの情報はインターネットとこちら「友だち作りのSST」の本から抜粋しています。一参加者であるため、解釈に間違いがあれば随時修正予定です。

PEERSのカウンセリングの流れ

PEERSの毎回のトレーニングは主に以下のような流れで進むようです。こちらは「友だち作りのSST」を参照にしています。

  1. 宿題の振り返り
  2. レッスン(毎回テーマが変わる)
  3. ロールプレイ
  4. 行動リハーサル
  5. 子どもたちのアクティビティ
  6. 宿題の説明
  7. 保護者と子どもの合流タイム

1.宿題の振り返り(初回は無し)

宿題は主にグループ内電話(相手は指定され毎回異なる)であり、指定された相手に向けて電話をした上で前回のレッスンで習った行動リハーサルを電話で実施します。

トレーニングの復習のようなものだと考えて良いのかもしれません。

2.レッスン

レッスンの内容やテーマは毎回異なります。

普段の生活でソーシャルスキルに課題がある子がつまづきそうなポイントが用意されていると感じました。詳細は次の章で説明します。

3.ロールプレイ

リーダーたちが誤ったコミュニケーションや不適切な対応を参加者の前でロールプレイします。

例えば、参加者は一人で話し過ぎて相手を不快にさせる様子・質問責めにして相手の気分を損なう様子などを客観的な目線で見れます。

4.行動リハーサル

ロールプレイをもとに、理想的なコミュニケーションをするための練習をします。

普段自分が行なっていた不適切なコミュニケーションの改善を目指します。

子どもたちのアクティビティ

ゲーム・室内遊び・室外遊びなどを通してソーシャルスキルを養います。

アクティビティの内容は毎回変わるようです。

宿題の説明

今回の宿題の説明を聞きます。

保護者と子どもの合流タイム

保護者と子どもが合流し、今日学んだことを共有します。再度宿題の説明を受けます。

PEERS全14回のトレーニング内容

PEERSでは毎回テーマに沿ってトレーニングが進みます。私はどの内容も実践的で素晴らしいと感じました。

ここでは、全14回のトレーニングのテーマを公式の順番で紹介します。

  1. 情報交換
  2. 双方向会話
  3. 電子通信コミュニケーション
  4. 自分に合った友だちを選ぶ
  5. ユーモアの適切な使い方
  6. 仲間に入る:会話に入る
  7. 仲間に入る:会話から抜ける
  8. 一緒に遊ぶ
  9. 拒否:からかい言葉・戸惑い言葉への対応
  10. 拒否:いじめや悪い評判への対応
  11. 思いのすれ違いへの対応方法
  12. 噂やゴシップへの対応方法
  13. プログラムの卒業

私自身、特にこれまで説明が難しかった以下のような課題について学べる点が特に魅力的だと思っています。

ユーモアの適切な使い方:つまらないジョークを連発して寒い雰囲気になってしまう
会話に入る:会話に入る方法が分からず仲間外れにされている気分になってしまう
会話から抜ける:嫌な抜け方をして相手の気分を害してしまう
からかい言葉への対応:怒りを爆発させてしまう
噂への対応方法:悪い評判を鵜呑みにして信じ込んでしまう

我が家がPEERSの参加を決めた理由

我が家がPEERSを知ったのは、カウンセラーの先生から勧められたためです。

しかし、これまで悩んでいたこと・・このまま放置しても生活はできるけど、できれば改善させてあげたかった息子のソーシャルスキルに効果があるのではと思いました。

私が説明しても息子に伝えることが難しい・改善に促せていない息子のソーシャルスキルの問題は以下ようなものです。

  • 自分が興味があることばかり一方的に話をしてしまう
  • 話し方の段取りが悪く伝わりにくい
  • 集中していると相手の声が届かない
  • 人が言う人の悪口を鵜呑みにし過ぎる(他人の意見として流せない)
  • 自分が言われた悪口に過剰に怒りを覚える
  • 人の怒りに同調し過ぎる
  • 少し冷たくされただけで全員から嫌われていると感じる
  • 曖昧な指示に苛立つ
  • 人からの指摘に過剰に反応する

もちろん、このような特徴がある人間は大人でも存在するし、普通に社会で暮らしています。ただ、自分が積極的に「この人と友達になりたい」「この人と一緒に働きたい」かと言うと、答えはNOですよね。

自分は家族だからこんな特性も可愛いと思えるけれど、このままじゃいけないのではと考えていました。

また、自分なりに根気良く問題の解決方法「順番に話そうね」「家族で練習してみよう」や、何とか友だちと遊ぶ機会を増やそうと努力は続けていたものの、あまり実になっていません。

さらに親の声が響きにくくなった思春期の息子に、第三者によるソーシャルトレーニングは非常に有効であると考えています。

まとめ

PEERSに申し込みはしたものの、現在他のメンバーを集めている最中ということで、ただただ期待を膨らませて予習を続けています。

保護者参加型のトレーニングであるため、トレーニング開始後も詳細をお伝えできる予定です。

息子がこれまで実施したプレイセラピーについてはこちらを参考にしてください。(一年半で完了しました)

ABOUT ME
sumire
フリーランスライター・カメラマン マレーシアで13歳発達障害児・9歳マイペース女子育児をしています。